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腹膜透析

2020.05.25 腎疾患

腹膜透析は、血液透析と並ぶ慢性腎不全の腎代替療法のひとつです。自分の腎臓では体内の老廃物や水分を体外に排泄する能力が低下したとき、腹壁に通した管(カテーテル)から1.5L~2L前後の透析液を出し入れし、体内の老廃物や水分を腹腔内に入れた透析液の中にこし出して除去する方法です。通常は1日3回~4回交換する方法(CAPD)と、夜間寝ているに間に自動的に機械で透析液を出し入れすることで透析を行い、日中は透析をしないか或いは1回程度の交換のみとする方法(APD、CCPD)があり、それぞれ個々の患者の病態に応じた治療法を選択してゆきます。
腹膜透析と血液透析にはそれぞれ長所・短所がありますが、腹膜透析の長所としては、

  1. 自宅で透析ができるため、血液透析のような週3回の通院は必要なく、月1、2回の通院で管理できる。
  2. ゆっくりお腹の中で透析するため、血液透析のような循環動態の急激な変化がなく、体への負担が少ない。
  3. 血液透析のような毎回の透析針の穿刺がなく、痛みから解放される。
  4. 血液透析に比較して残存腎機能が保たれる(尿量が腹膜透析開始後も長い間保たれる)

などがあります。このように利点の多い腹膜透析ですが、日本の中では透析患者全体のなかで腹膜透析を施行している患者の割合は4%にも満たないのが現状です。

その理由としては、腎代替療法を選択するにあたって、医療者側から腹膜透析に関する十分な情報提供がなされておらず、また腎臓内科医ですら腹膜透析療法についての知識・技能が十分でなかったり、病院内で腹膜透析医療を行う体制を積極的に整える熱意に欠けていることなどがあると思われます。

当院では1999年10月より腹膜透析を開始して以来、導入患者は100名を超え、現在でも50~60名ほどの腹膜透析患者の診療を行っていますが、この10年間の診療で腹膜透析患者と血液透析患者の生命予後に差がなく、腹膜透析は血液透析と十分対等な治療法であることが分かり、当科では腹膜透析の推進・発展に積極的に取り組んでいます。

腹膜透析を開始するにあたっては、腹膜透析用のカテーテルを腹壁に通して植え込む手術が必要ですが、当院ではSPIED法という方法を用い、計画的な腹膜透析導入のシステムを作っています。まず日帰り手術あるいは1泊入院でカテーテルを植え込む手術を行い、その後は自宅で待機しカテーテル挿入部の組織が安定するのを待ちます(図1)。そして1週間ほど経過した後に再入院していただき、1週間ほどのプログラムで腹膜透析の導入を行い、ご本人や家族に腹膜透析の原理や手技を習得していただきます。

図1. 左下腹部より腹膜透析用カテーテルが挿入されている。手術当日。

また当院では、腹膜透析を導入した後の外来診療体制や定期検査にも力をいれて取り組んでいます。

外来ではまず始めに、管理栄養士と腹膜透析専門看護師(図2)が30分ほどかけて問診し、持参した食事調査表をもとにした栄養指導を行い、生活全般に関する問診表や透析管理手帳をもとにして、腹膜透析治療方法の確認や生活指導、出口部の状態観察などを行います。その後、理学療法士により運動療法や生活指導を行ったあと、医師が最終的に診察します。

このように医師と看護師のみでなく、multidisciplinary team approach(多くの専門職種が携わるチームアプローチ)で腹膜透析の医学的な管理だけでなく、生活全般の指導ができるようチーム医療体制を作っています。

定期検査に関しては、腹膜透析が腎臓の病気ではありますが、腎臓病は全身の血管病の一つでもあり、また透析患者の死亡原因の一位は心血管疾患(心不全や心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈疾患など)でもあることから、当院では年1回の検診として腹膜機能検査や透析効率の評価とともに、頚動脈エコーや心エコー、下肢血流検査など各種画像検査を行い、合併症の早期発見に取り組んでいます。

以上より、当科は腹膜透析の導入から外来体制、定期検査にいたるまで腹膜透析療法の推進、発展に努めているほか、患者会へのサポートを通じ、腹膜透析患者がよりよい生活環境を築けるように、努めています。

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