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薬剤師コラム

Q:免疫抑制剤はなぜ数種類必要なんですか?1~2種類になりませんか?

これにお答えするために、いくつか理解しておくと、より分かりやすくなると思いますので何段階かにわけてご説明します。

1 私たちの体について

熱いと汗をかいて、寒いとぶるぶるっと震えたりします。これは私たちの体が、体温を一定に保とうと一生懸命働いているからです。このような外の環境変化に対して、体内の状態を一定に保とうとする働きを恒常性(ホメオスタシス)と言います。外から病原体や異物が体内に侵入してくると、これを排除するように働きますがこれも恒常性(ホメオスタシス)の一種で、特に 『免疫』 と呼びます。

2 免疫には

生物の体にもともと備わっている免疫システムを自然免疫(異物をぱくぱく食べてやっつける)、病原体や異物が侵入したことにより新たに備わる免疫システムを獲得免疫と言います。腎臓の移植は、外から自分のものではない腎臓(異物)が体内に侵入してくることになり、獲得免疫が関わってきます。

3 免疫の仕組み

血液成分の白血球の 『リンパ球』 が主に免疫を担当しています。リンパ球にはT細胞、B細胞などがあり、以下のような働きをしています。

獲得免疫での免疫担当細胞

・樹状細胞・マクロファージ・・“へんなやつが入ってきたぞ(異物)” とその破片を掲げます

・リンパ球

  ヘルパーT細胞・・その破片が“異物だ”と認識すると、攻撃命令を出します

  キラーT細胞・・・・自ら攻撃部隊としてやっつけに行きます

  B細胞・・・・・ヘルパーT細胞から “抗体を作れ” と命令を受けると、抗体を産生します

           抗体は異物(腎臓)にくっついて破壊します

主に上記のT細胞が担っている免疫を細胞性免疫、抗体が担っている免疫を液性免疫と言います。

4 免疫抑制剤

やっと薬の話まできました!

つまり、今までの話から、腎臓を守るためには、T細胞・B細胞の両方の働きをおさえることが必要になります。

【 免疫抑制剤 】

タクロリムス(グラセプター、プログラフ)  

 

主にT細胞の働きをおさえます

エベロリムス (サーティカン)
シクロスポリン(ネオーラル)
ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト、ブレディニン T細胞・B細胞の働きをおさえます
プレドニゾロン (メドロール、プレドニゾロン) 免疫担当細胞(上記)の活性を抑えたり、炎症を抑えたりします

もう一つ重要なことで、

数種類を組み合わせることによって、一つ一つの薬の量を減らすことができ、副作用軽減にも働いています。

ま と め

免疫抑制剤はその働きと副作用軽減から、絶妙な3〜4種類の組み合わせをしています。移植腎がある限り、免疫担当細胞の働きを抑えるため、薬を飲み続けることがとても大切です。

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